「むし」は主に関西地方で遊ばれていた花札ゲームの種類の1つです。
今ではやる人も少ないゲームになっていますが「大阪虫」とも呼ばれ親しまれていたゲームです。
対象人数
基本的には2人で遊ぶゲームです。
「むし」に使う札の数
花札1組48枚の中から「牡丹」と「萩」の4枚ずつ、計8枚を抜いた残りの40枚を使用します。
※最近ではあまり見かけなくなりましたが関西ではこの40枚の専用札を「虫札」あるいは「虫花」という名前で販売もしていました。
「むし」の遊び方
むしは、取り札の点数を競い最も高得点の人が勝者になるゲームです。
むしの特徴的なルール「鬼札(※後述)」の取り扱い以外は花合わせなどとほとんど同じ流れになります。
①親と席を決める
花札を裏向けの山にして置き、1枚ずつめくって月の早い方が「親」になります。※同月の場合は得点の高い方が「親」です。
席順は、月の早い順に親から反時計回りに座ります。
札の「月分け」や得点は以下の一覧表で確認できます。
※家族や親しい友人と遊ぶときなどは正式なルールでなくとも、ジャンケンなどで決めても良いと思います。
③札を配る
札は「親」が配ります。
「子」の手札を裏向けで4枚 ⇒ 場に表向けで4枚 ⇒ 「親」の手札を裏向けで4枚という順番で4回繰り返し、手八の場八(それぞれの手札が8枚、場に8枚)の状態にします。
残りの札は場に裏向けで積んでおきます(山札)
④ゲーム開始
流れは「花合わせ」などと同じで、親から順に手札の中から1枚を選び場に出していきます。
場札の中に手札から出した札と同じ花(絵柄)の札があればその札を自分のものとして獲得することができます(取り札)のでよく選んで出します。
同じ花(絵柄)の札がなければ、そのまま場に置いておきます。
そして続けて、山札の一番上をめくります。
めくった札と同じ花(絵柄)の札が場札の中にあれば、その札も自分の取り札として獲得できます。
それを順番に繰り返し、手札がなくなった時点でゲーム終了となります。
鬼札とは
このゲームでは、「柳(雨)のカス札」を鬼札として扱います。
また、鬼札として扱うため「柳札」としては使えません。
でも、柳以外のどの札とも合わせて取ることが可能です。
残った柳札は3枚で1枚が半端札になりますが、その半端札は鬼札を取った人のものになります。
また、場に2枚ある場合は1枚の柳札で3枚ともを取ることができます。
最初に配られた場札の中に鬼札がある場合
最初に配られた場札の中に鬼札があることを「鬼つきの場」といいます。
このとき親は最初に手札を1枚場に出し、山札を1枚めくって必ず場にある鬼札と合わせて取るようにします。
※めくった札が柳だった場合はそのまま場に置きます。(柳があれば合わせて取れます)この場合、「鬼つきの場」は次の人へ継続されます。
鬼札の例外
鬼札が山札の一番下にあったときは、半端に残っている1枚の柳札と合わせて取ることができます。
残った場札はどうする?
例外(鬼札が山札の一番下にあった場合)を除いて、最終的に場には2枚の札が残ります。
これは半端になった「柳札」の残り1枚と、鬼札で合わせて取った月の残り札1枚です。
この場合の残った柳札1枚は、他2枚の柳札を獲得している人の取り分となります。
鬼札で合わせて取った月の残り札1枚は、鬼札を獲得している人の取り分となります。
「むし」での役(出来役)と点数の一覧
五光 30点
光札(20点札)5枚
三光 25点
「松に鶴」「梅に鶯」「桜に幕」
藤しま 10点
藤の札4枚
桐しま 10点
桐の札4枚
点数の計算
基本的に2人で遊ぶゲームなので基準点は230点の半分、115点になりますのでそれを超えればプラスになります。
札の点数と上記の出来役の点数が加算されます。
札の得点は以下の一覧表で確認できます。
ここまでの流れを一局(1月)とし、十二局(12ヶ月)行います。
十二局行ったあと総合的な得失点で勝敗を決まります。